2025.01.05
どんよりとしている雲がどこまでもついてくるので今日は晴れない
雨のふるあいだは部屋でながめてるつめたい雨のふる世のなかを
こんなことしたくて生きているのではないのにこんなことして生きる
がらーんとしている街にやってきてがらーんとした心であるく
あめってるなあってなってあるいてる街あめってるなあってなって
レコードに針をおとしてじりじりと曲のはじまるまでの空白
ひとびとのねしずまるころ僕だけのダンスパーティー始まっている
2024.12.29
ざくざくとこころのなかにある棘でじぶんのことを傷つけながら
なんとなくかなしくなって泣いているわたしのことをなぐさめる夜
あけましておめでとうってあなたからとどくの待っているお正月
ならんでるものたちみんな吹いてきた風でつぎつぎなぎたおされる
おさとうのあまいにおいにさそわれてあつまってくるたくさんのひと
おめでとうございますっておめでとうございますってなにがめでたい
なにもないああなにもないなにもないなにもないこの完ぺきな午後
2024.12.22
文明のおわるにおいをさせながらぶんぶんやってくるガソリン車
ごしごしと暗いところでこすってるわたしにこびりついてるよごれ
食べたいのおなかいっぱい食べたいのおなかいっぱい食べたいものを
クリスマスケーキの味のクリスマスケーキを食べているクリスマス
なんねんも会ってないからなにもかもあなたのことを忘れてしまう
もしやるかやられるかならやるほうをやっぱりみんなやるのだろうな
約束の土地であなたを待っているなにもないこの空をみあげて
2024.12.15
秒針のぬるぬるまわりつづけてる午後をぬるぬるまわりつづける
あさおきてあたりをさんぽしているとだんだんぼくのなかもあかるむ
コンタクトレンズをいれてぼんやりとながめるレンズごしの世界を
いじめっ子たちはいまでもいじめてるだろうかわたしみたいな子たち
かなしみについてわたしはかんがえるかんがえたってわからないけど
クリスマスソングながれる世の中をゆきますメリー苦しんでます
あさおきて鏡のなかをみてみるとあるべきはずの顔がなかった
2024.12.08
あなたとはさよならをしてあるいてるあなたのいなくなった世界を
いまだけは手をつなぎあう手をはなすときがいつかはやってくるから
にんげんのことがきらいになっていて自分のことがいちばんきらい
おこってるひとにむかっておこってるひとにむかっておこってるひと
いつまでもかなしいことはつづくけどたのしいことはいつも一瞬
わたしにはヒートテックがお似合いでヒートテックを着てあるいてる
にんげんはいらなくなってそのぶんの仕事はみんなAIがやる
2024.12.01
前にあるタスクをすべて投げだしてからだをマットレスに投げだす
好きなもの口いっぱいにつめこんで好きいっぱいに生きてゆきます
かなしみにいろもかたちもないけれどたしかにここにあるのがわかる
丘にあるベンチで肩をよせあってふたりだまって風をきいてる
いつまでも犬がわたしをみてるからわたしも犬をいつまでもみる
さむいなあさむいなあってなっていてさみしいなってさみしいなって
世の中をのろっていたらのろってるわたしのほうにのろいがかかる
2024.11.24
ひとりならひとりであるということをひとりでひとりなりにたのしむ
あたたかくしているけれどいつまでもからだのなかがあたたまらない
たいくつだああたいくつだたいくつだああたいくつだああたいくつだ
無駄である無駄であるのは無駄である無駄であるのは無駄である無駄
アラームを時間どおりにセットしてぴったり時間どおりに起きる
どこまでも逃げていってもどこまでも空がわたしを追いかけてくる
透明のからだであるきまわってる生きているのに死んでいるひと
2024.11.17
生きなさい生きなさいって声がして生きてみせます生きてみせます
生きているひとたちみんなひとりずついずれ等しく死んでゆきます
カラオケをもうなんねんもしてないなあなたの声をきいていないな
行ったことないのに行った気になるねインターネットみているだけで
あしたにはみんなこわれているのかもしれない今はここにあるもの
まっくらのなかをひとりであるいてるときのわたしのなかはまっくら
生きものが生きているなあ生きものがみんないきいき生きているなあ
2024.11.10
にんげんは優しいなってなったあとやっぱ優しくないなってなる
草むらの目つきのわるいのらねこよ目つきのわるいまま生きてゆけ
にんげんは赤になったらぴったりと止まって青になったらすすむ
わたしにもあんなにあおい青春があったらなってまっくろになる
あさおきてあるいているとのらねこが路地から顔をだしておはよう
わんわんがわんわん吠えてわんわんのわんわんひびきわたってる朝
ゆううつになってることにゆううつになってることにゆううつになる
2024.11.03
わたしにはわたしのことがわからない鏡よ鏡わたしはだあれ
パンくずを投げたらたぶん人間に当たるっていうくらい人間
そこにある空にわたしは手をのばす手をのばしてもとどかないけど
むこうからつめたい風がふいてきてわたしの声はかきけされます
そんざいをそっと確かめようとしてそっとあなたのほっぺにふれる
死んでいるつもりはべつにないけれど生きているのかよくわからない
ひとはみなひとりひとりであるいてるひとりひとりの道をひとりで