2022.11.06_2
しずみゆく船からみえる星空のかがやきだけが希望でしょうか
たくさんの壁が建てられましたこの何もなかった大地の上に
ばきばきの目だまをいつか手にいれて見えないものを見にゆくつもり
なにひとつ浮かんでいない青空をこころのなかに浮かべている日
サントラをながせば僕はまるでこの世界の主人公みたいです
ちょうどきた電車にさっと飛びのってどこか遠くへゆきたいのです
ここにあるこの感情をこのままにしながらあるく駅までの道
2022.11.06_1
灰色のハードディスクにねむってる昔のままのみんなの写真
パソコンをぱたんと閉じる 僕たちはまた世界から切断される
カフェインに頼るくらいが今のとこまあまあマシな方法だもん
コーヒーを飲みすぎている脳みそでながめれば街 またたいている
電線のうえにとまっているハトがじっとしずかに充電してる
友だちが少ないという設定のキャラのみためがどうみても僕
暗がりでスマートフォンにぼんやりと照らされている僕の顔面
2022.10.30_2
シネコンの窓いっぱいにきらきらとうつりこんでる夜の新宿
終演後 ひとびとはその何もない空間をただみつめたままで
つなぎあうためにこの手はついているのではないかと思いつつ見る
どのように角度を変えてみてみても僕のどこかにぽっかりと穴
それぞれの中央線にそれぞれの孤独が溶けてゆきますように
暗やみにとりのこされた僕たちのひとりひとりに光があたる
まだすこし湿った土にしっとりとしみこんでゆくギターの響き
2022.10.30_1
とびっきり生産性のないことをしたいなうたをうたってたいな
都市というぽっかり空いたみずうみに乱反射するネオンの光
午前2時 SNSをひらいたり閉じてからまたひらいてみたり
アルコール飲まなくなって現実をシラフのままで受けとめている
道ばたに落っこちている手袋をまったくだれも見向きもしない
わたくしに呪いをかける言の葉をさがしもとめている紀伊國屋
もういちど重いあたまを横にして意識が切れるのを待っている
2022.10.23_2
ないものは何にもないというくらい何でもあって 何にもなくて
この空は地球のうらで暮らしてるひとの上にも浮かんでんだぜ?
昆虫をむじゃきに素手でつかまえていたころ僕の手にあったもの
ラインではつながっているひとたちのだんだん切れていってる感じ
僕たちのあいだの溝にながれてるさみしい川をながめています
太陽のまわりをまわるマンションのマットレスには寝たままの僕
星はみな離ればなれになったまま真っ暗闇をただよっている
2022.10.23_1
20年前とおんなじ顔をして僕をみおろすよねオリオン座
だんだんと夜のふかまりゆくなかに出口をみつけられないままで
自動車の音がするからまだそこに世界があるというのがわかる
その先に何もなくてもまっすぐに歩いてゆけと言うんだろうか
天井がどうして僕をぺしゃんこにしようと思わないのか不思議
夕やみにこだましてゆくサイレンもきっと誰かのための音楽
ついさっき僕のあるいていた場所を知らないひとがあるいています
2022.10.16_2
ぼんやりとホームに立っている僕のところまでくる街のきらめき
半径2メートルまでは親切にふるまうことが可能なんです
神さまが手ぬきしたんじゃないかって思っちゃいます 僕の青空
とぼとぼと歩いていって誰よりも遠いところへ行ってみせます
雲間からおおきな腕がのびてきてどこかへ僕をつれてゆくかも
信号はぱちぱち変わる 僕たちがいつもぱちぱち変わるようにね
街灯に照らされながら幽霊とかわりばんこで夜のブランコ
2022.10.16_1
眠れなくなってしまった僕のことおかまいなしに街はあかるむ
うたとして刻みますこの悲しみもいつかは消えてしまうのだから
ほんとうの気持ちをいつも僕たちはマスクの下に隠したままで
遠くから呼びかけられたような気がしたけれど気がしただけだった
すれちがう小学生がまっすぐな目をして僕をやたらみてくる
にょきにょきと生えまくってるマンションの窓から光まき散らされて
電源をいれるとなんかダルそうに息を吐きだしている暖房
2022.10.09_2
音楽があるから僕はかろうじて電車のなかで立っていられる
ビニールの傘をひらいて見上げればビニール色の空がひろがる
ふってくる雨のひとつぶひとつぶが街へしずかにしみこんでゆく
もうずっと閉めきっているカーテンの外から差してきている光
終電はどこへもたどりつかなくて僕をあすへと吐きだすだけだ
ファミレスで朝まで笑いあったのも全てまぼろし なんてまさかね
たっぷりと夜風を羽にうけながらどこまでだって飛んでゆきます
2022.10.09_1
のらねこはもちろん僕のことなんて気にしてないし 勝手に生きる
最低なこの世界からつれだしてくれる映画をみつけたら勝ち
こんなこと言っても誰も信じないだろうな星を手にいれたって
蛾のようにふらふら飛んでいる僕をそっとつつんでくれる満月
外からの風がこんこんこんこんと窓をたたいている音がする
イヤホンで耳をふさいで深海魚のように街へただよってゆけ
みんないる群れをはなれてひとりでも前にむかって進むありんこ